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I.はじめに
Sherringtonは組織を損傷するに到るような刺激,すなわち侵害刺激に応ずる感覚受容器を侵害受容器と呼んだ。組織,時には全身の死活にも直結する情報に関与している点に侵害受容系の特色がある。神経系の進化から見ると,最も原始的な反射は侵害受容反射であり,この反射の土台の上に身体の基本的機能の調節系が築かれたものと考えられる。この神経系の未分化な時期に発生した侵害受容系は,未分化な性質を残し,また,その後発達した他の調節系との絡み合いによる変容作用を受けるという二重の複雑性を持つ。このことが,この系についての研究を,他の感覚系の研究とは比較にならないほど,困難にしている要因であると考えられる。
求心性一次ニューロンの機能として通常問題となる要素は,①その末梢性末端における受容器の問題と,②中枢性末端におけるシナップス伝達物質,修飾物質の問題である。しかし,侵害受容ニューロンについては,これに加えて,③末梢性末端における,物質の放出による組織での反応として,古くから知られている神経性炎症,または軸索反射の問題がある。この現象は,いわば,求心性ニューロンが,同時に効果器としても働くという未分化さとも考えられ,他の感覚受容ニューロンには見られない性資である。
Abstract
Whether pains are transmitted through their own specific sensory system has been debated since last century, when pains had been treated as a sensory function. Recent progresses in neurophysiological investigations on small fiber afferents revealed the existence of 2 separate types of nociceptors. They are definitely distinguished from non-nociceptors which can not afford to send informations on the noxious intensity of stimuli.
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