Japanese
English
総説
脳とアラキドン酸カスケード
Arachidonic Acid Cascade in the Brain
清水 孝雄
1
Takao Shimizu
1
1東京大学医学部栄養学教室
1Department of Physiological Chemistry and Nutrition, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.597-613
発行日 1987年7月1日
Published Date 1987/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205929
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I.はじめに—アラキドン酸カスケード
食事より摂取したアラキドン酸からは,図1に示したような多彩な生理活性物質が産生される。プロスタグランディン(以下,PGと略),トロンボキサン(TX),ロイコトリエン(LT),リポキシン(LX)等を総称してエイコサノイド(炭素数20個の脂肪酸誘導体の意味)と称する1〜4)。これらの物質はホルモンとは異なり,ある細胞で産生されると,血液に乗って全身を巡るのではなく,ごく近傍の細胞に作用し,速やかに代謝される。局所ホルモンあるいは,オータコイドと呼ばれる所以である。神経伝達物質,ホルモン,そしてこのオータコイドは厳密に境界分け出来るものではないが,便宜上の分類を表1に示す。本稿は,初めにアラキドン酸カスケードの概説を行い,次に脳と神経系におけるエイコサノイドの代謝と作用について,最近の知見を筆者らの成績を含めてまとめたものである。
LT生合成の詳細なメカニズムについては筆者の文献5を,また細胞情報伝達系の中での役割については,文献6に記されている。さらにLT全般の最新の研究については,月刊誌「代謝」(中山書店)の昭和62年3月号で詳細に記述されているので参照されたい。また必要な方は別刷りを請求して頂きたい。
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