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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅲ.代謝的に作用する薬物
トランスミッターの放出・取り込みに作用する薬物
アラキドン酸
Arachidonic acid
清水 孝雄
1
Takao Shimizu
1
1東京大学医学部第二生化学教室
pp.437-438
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900245
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「概説」
アラキドン酸は細胞膜の構成成分である。通常,膜のリン脂質(グリセロリン脂質)のグリセロール骨格の第二位にエステル結合しており,細胞に刺激が加わるとホスホリパーゼA2の働きで遊離する。アラキドン酸を高濃度に含むリン脂質としてはホスホイノシチド,PAF前駆体リン脂質がある。したがって,PI代謝回転やPAF生合成とアラキドン酸生成はカップルしていることが多い。アラキドン酸からはプロスタグランディン,ロイコトリエンなどの生理活性物質が作られる1)。ロイコトリエン関連物質は最近神経伝達やチャネル修飾に重要な役割を果たしていると考えられている2,3)。また,アラキドン酸そのものが神経伝達を修飾するとの報告もある4)。
アラキドン酸代謝物が軟体動物性テトラペプチド(FMRF amide)の細胞内セカンドメッセンジャーとして,ポタシウムチャネルの開口に関与するという報告はKandelのグループから,アメフラシ感覚ニューロンを用いた実験で初めて報告された。肝心のS-チャネルがまだクローニングされておらず,その作用機作は未だに明らかとはなっていないが,これが一つのきっかけとなって,同様の報告が多く発表された。心房細胞で,ロイコトリエンC4がアセチルコリン性のポタシウムチャネルを開くこと,また,ソマトスタチンにより,線条体のM-電流が促進すること,また海馬でもアラキドン酸代謝物によるポタシウムコンダクタンスの上昇などが報告された。
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