特集 日常診療に潜む「処方カスケード」—その症状、薬のせいではないですか?
【総論】
「処方カスケード」とは?
鈴木 智晴
1
1社会医療法人 仁愛会 浦添総合病院 病院総合内科
キーワード:
処方カスケード
,
ポリファーマシー
,
薬剤有害事象
Keyword:
処方カスケード
,
ポリファーマシー
,
薬剤有害事象
pp.1188-1191
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203959
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処方カスケードとは、「ポリファーマシーの一形態で、薬剤有害事象が新たな症状や疾患と誤解され、この有害事象を打ち消すために新たな処方が開始されること」とされ1)、現在は新たな処方だけではなく、検査や治療、処方薬に加えて市販薬の開始につながったものを広義の「処方カスケード」と呼ぶ2,3)。さらに処方カスケードの新たな定義・形式として、「適切な処方カスケード」「不適切な処方カスケード」という考え方もあり4)、いわば副作用を認識しながら、その副作用の契機になった薬剤のベネフィットが副作用およびそれを打ち消すための薬剤の処方に勝る場合に、「適切な処方カスケード」という概念も生まれている。しかし、「適切か、不適切か」と断ずるのではなく、減量によって1)、あるいは同効薬への変更によって、この二項対立に陥らずに対処することが望ましい5)。減薬を行えば、ある程度の有効性を担保しつつも、副作用を低減し、この副作用を打ち消すための処方を減らすということはできるかもしれない。あるいは同効薬で、副作用のない/少ない薬剤への変更ができないかを検討することはできる。もちろん、やむをえない、あるいは明らかなベネフィットのある「適切な」処方カスケードも存在する。処方カスケードを発見する確固たる方法はないが、処方カスケードを発見することによって、不要な薬剤、不要な検査、不要なコンサルテーション、不要な入院6)、不要な害を防ぐことができるのである。
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