Japanese
English
特集 感覚神経路の多重性
系統発生からみた感覚路の多重性—視覚系を中心として
Evolution of Parallel Sensory Pathways, with Special Reference to the Visual System
伊藤 博信
1
Hironobu Itol
1
1大阪大学医学部第二解剖
1Department of Anatomy, Osaka University Medical School
pp.845-852
発行日 1986年9月1日
Published Date 1986/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205770
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
1.はじめに
非哺乳脊椎動物の網膜神経節細胞の形態は極めて多様で,種によって著しく異なる(Ito and Murakami,1984)。またその生理学的特性も充分に解明されているとはいい難い。したがって哺乳類のY-,X-,W-系に相当する多重性や,大脳皮質における複数の視覚野—constella-tion (Diamond,1979)—などについて系統発生的に検討を加えることは現在のところ不可能である。ここではSchneider (1969)が提唱して以来一般的となった二つの視覚系(膝状体系と非膝状体系)の概念に基づいて鳥類,爬虫類,両生類,硬骨魚類,軟骨魚類,の各綱(class)の視覚系について概説する(図1参照)。またこれらのデータから必然的に生じて来た「中枢神経系の進化」に関する仮説のいくつかを紹介し,多重投射の機能的意義について考察する。
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.