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I.はじめに
網膜で処理された視覚情報は,視神経・視索を経て外側膝状体や上丘などに伝達される。視覚伝導路とはそれらの構造からさらに皮質視覚野までのあらゆる経路を含むが,ここでは視神経の投射に限ってその可塑性について紹介したい.網膜神経節細胞の軸索である視神経線維の投射の持つ可塑性には二つの側面が考えられる。一つは,個々の神経節細胞の軸索の投射様式に関するもので,他の一つはそれらの軸索の終末が中枢ニューロンとの間に形成するシナプス機能に関するものである。こういった視神経投射の可塑性の問題は,これまで主に両棲類や魚類の網膜—視蓋路を対象として研究されてきた。それは,これらの脊椎動物の場合,視神経の切断後にその末端から発芽再生した視神経が中枢に向かって伸び,再び視蓋に投射しうるからである。ことに再生視神経線維が網膜での部位特異性を保ちつつ標的である視蓋のニューロンとシナプス結合を再現することを証明したSperryの実験は,視神経結合における"化学的特異性"の仮説を提出して注目を集めたことは周知のところである。
さて,哺乳動物の視神経線維には切断後の再生能はなく,したがって可塑性の問題も両棲類や魚類とは異なった側面からのアプローチしか許されない。本稿で紹介する研究の端緒になったのはLundら(1973)20)によるラットの視神経投射の可塑的変化の研究である。
Plastic changes in synapses or cell bodies after surgical manipulations of one eye have been reported for the central visual pathway in various mammals. Here, we introduced our recent works on the aberrant ipsilateral retinofugal projections induced by neonatal enucleation of one eye in rats. Our works consist of four parts as summarized below.
1) Physiological studies of single relay cells of the lateral geniculate nucleus being innervated by the aberrant ipsilateral retinal projection showed that these retinogeniculate synapses are functioning.
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