書評
—大熊輝雄(国立武蔵診療所副所長) 執筆協力 松岡 洋夫(東北大学神経精神科) 上埜 高志(東北大学神経精神科)—脳波判読step by step 入門編,症例編
平賀 旗夫
1
1東北大学中央検査部脳波室
pp.746
発行日 1986年8月1日
Published Date 1986/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205753
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臨床脳波の判読はふつう次のような過程を経て行なわれるものである。まず,①波形・周波数・振幅などの特徴抽出による波形要素の読み取りを行ない,特徴的な波と背景脳波とを分離する。ついで,②波の分布や極性・位相関係を導出モンタージュと対照して,分布地図や焦点をわりだす一方,③時間経過に注目して,持続性・間欠性を判断する。さらに,④刺激や賦活に対する反応性や⑤生理的ないしは病的な過程による変動を観察する。⑥これらの1次情報と,記録中の被検者の意識状態その他の臨床的知見や,これまでの症状経過や使用薬剤などとをにらみ合せて,⑦判定医の知識の中にある年齢正常像や症例経験と照合しつつ,⑧最終的な脳波異常性の判定に至る。—という風に多様なパラメータを駆使して行なわれる。
初心者が脳波判読術を習得しようとする時に最大のネックとなるのは,上記のうち,①の波形要素の読み取りと,②のマッピング・分布判読であろう。これらは評者の経験でも,原寸大の波形についてマンツーマン方式で教えないと仲々ものにならず,教える方も教わる方も,多大の時間と労力を要するところである。
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