書評
―大熊輝雄,松岡洋夫,上埜高志 著 齋藤秀光,三浦伸義 執筆協力―脳波判読step by step入門編(第4版) 脳波判読step by step症例編(第4版)
松浦 雅人
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1東京医科歯科大学大学院・生命機能情報解析学
pp.1083
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101092
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臨床脳波判読医養成に効果的な標準テキスト
脳波は波形が複雑に変動するだけでなく,頭蓋上の多くの部位から長時間にわたって記録するため,全体を総合的に把握しなければならない。初学者にとってはどこから手をつけてよいかわからず,取りつきにくいとの印象を持つのもうなずける。本書はこれから脳波判読を習得しようとする人のために書かれたもので,初版が1986年なので20年の歴史を持つことになる。前回の第3版の改定から7年を経過し,今回さらに加筆・増補が行われた。
「入門編」ではステップ1からステップ14まで,段階を追ってていねいに脳波判読の手ほどきをしてくれている。各ステップにはたくさんの練習問題がついており,たとえば1週間に1ステップの練習問題をクリアすることを目標にすれば,3~4か月で脳波判読の基本を修得できる。脳波図版は原寸大であり,計測用の脳波スケールがついているのも親切である。手を使って脳波波形にスケールを当てて,実際に計測することではじめて波形の観察力が深まる。ステップ1では周波数や振幅の計測のしかたを体験し,次いでステップ2からステップ3にかけて位相や左右差,分布や局在など,次第に複雑な波形の計測法を学ぶ。さらに,脳波記録法,アーチファクト鑑別法,賦活法,成人脳波,睡眠脳波,異常脳波とステップアップしていく。ステップ11からは小児脳波の分野に入り,ステップ14の老年者の脳波判読を終えると,すべての年代の脳波判読をカバーしたことになる。
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