書評
—監修 佐野 圭司(東京大学名誉教授・帝京大学教授) 編集 亀山 正邦(京都大学教授) 高橋 睦正(熊本大学教授) 半田 讓二(滋賀医科大学教授) 松井 孝嘉(大阪医科大学助教授)—中枢神経系のCT診断
半田 肇
pp.337
発行日 1984年4月1日
Published Date 1984/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205296
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Computed Tomography (CT)をHounsfieldがBritish Journal ofRadiologyの誌上に発表したのは1973年であるから,今年でちょうど10年を迎える。この透過X線光子の数からコンピュータを駆使して再構成された断層画像の出現はX線診断上の画期的な技術革新であり,驚嘆と賞讃で迎えられたが,以来この10年間のCT機器の改良と普及もまた目を見張るものがある。わが国にCTスキャナーが導入されたのは1975〜1976年であるが,脳出血,脳梗塞,脳浮腫などの病変を,あたかも病理標本を見るかのごとくに明確にかつ三次元的に描き出された時の感激を多くの臨床医は経験されたことと思う。あらゆる診断と治療にCTは不可欠のものとなり,その利用台数は飛躍的に伸び,わが国では既に2,000数百台に達し,世界最大の保有国となっている。
CTの診断に関しては,すでに夥しい数の研究論文や症例報告がなされ,それに関する著書も少なからず出版されている。しかし,本書は700頁にもおよぶ大著で,現時点でのX線CTによる中枢神経系疾患の知見の集大成といえる。本書は佐野圭司教授の東大停年御退官を記念して,神経内科,脳神経外科,神経放射線の専門の4名の編集委員が中心になり,それぞれの専門分野におけるエキスパート76名の執筆により刊行されたものである。
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