書評
—編集 伊藤正男(東京大学教授) 祖父江逸郎(名古屋大学名誉教授) 小松崎篤(東邦大学教授) 廣瀬源二郎(金沢医科大学教授)—小脳の神経学
加藤 正道
1
1北海道大学
pp.204
発行日 1987年3月1日
Published Date 1987/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205864
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- 文献概要
雑用に追われることを口実に,文献も関係あるものだけを拾って読むことが多くなった近頃であるが,「小脳の神経学」は読み始めたら途中で止めるのが惜しく,他の用件は少々失礼して読み終えた。題名通り小脳の神経学の現状を知るのに誠にすぐれたモノグラフであるだけでなく神経科学全般の知識を得,さらに今後の研究の指針をも与えてくれるという意味で,初学者にも研究者にもぜひおすすめしたいと思う。
本書出版の動機はもともと金沢医科大学神経科学セミナーにおける講演にあったようであるが,その後,伊藤正男,粗父江逸郎,小松崎篤,広瀬源二郎諸教授が編集の労をとられ,執筆者も新たに最適任の方々の参加を得て出来上ったものである。編者も序で述べている通り「……脳の構造と機能の間隙を埋めることに最も成功したものとして小脳の神経学を脳研究の中に位置づけることができる。これにより解剖学.生理学の基礎研究と臨床症候論が著しく接近したことは本書の記述にもよく示されており,この点従来の成書にはない小脳の神経学の新しい進展を示すものとしての本書の意義があるといえる」。
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