書評
—編集 原澤 道美(東京大学教授) 亀山 正邦(京都大学教授)—臨床医のための老年科診療指針
尾前 照雄
1
1九州大学
pp.1216
発行日 1982年12月1日
Published Date 1982/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205046
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読みやすい恰好のガイドブック
この度,原沢道美東大教授,亀山正邦京大教授編集になる恰好の老年科診療指針が医学書院から上梓された。約400頁にまとめられたhandyな解説書である。本書の何よりの特徴は,読みやすいこと,重要な部分の記述が親切で行き届いている,図や表が多く使われているため分りやすい,ことである。執筆者は本邦における老年病学を文字通り推進してきた方々であり,老年者診療上のポイントが初心者にも分りやすく解説されている。
老年病の診療に重要なことは,各論よりもむしろ総論にある。老年者の特徴と好発する疾患,診断に際しての注意と診察法,検査所見の解釈,治療上の注意点,リハビリテーション,看護,老年者における特異な病態などがそれである。編者が本書の序に述べておられるように,高齢者では従来の医学的常識では考えられないようなことにしばしば遭遇すること,総論的記述に重点があること,疾病の各論においても老年患者の特徴に中心がおかれていることなど,編者の意図が十分に生かされている。
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