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編集後記
有馬 正高
pp.203
発行日 1976年2月1日
Published Date 1976/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203848
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- 文献概要
昨年10月,Trontoで開催された第1回国際小児神経学会に出席した折に,小児神経学の専門家養成の問題について話しあう機会があつた。
現在,米国で指導的立場にある小児神経学の専門家の多くは,小児科学と神経学の両方の臨床経験をもつ人達であり,一部には,脳外科学の習練を受けた人もある。米国の小児神経学の専門家の多くが小児病院の神経部門に籍を置きながら,成人神経学の集会で討論し,また,小児科と神経科の両方の肩書きをもつているのは,日本と異る訓練のコースを経てきたことにも原因があろう。小児病院の多くが大学の関連病院として他の医療機関と近接した所にあることも交流を深めている理由の一つと思われる。小児神経学が独立し,近年は専門医のコースが確立している米国においても,なお,かつ,小児科学と一般神経学の両立の訓練を受けることが推奨されているのは,かつてそのような経歴をふんできた人達がその利点を肌で感じてきたからであろうと思われる。ちなみに,国際小児神経学会の正式メンバーの資格として,小児科学と神経学の両方を少なくとも1年以上,両方で4年間のキャリアを最少限とする基準を示したのも,そのような理由によっている。ヨーロッパや日本においてはそのような訓練の習慣や機会がほとんどなかったため,資格上で,いくつかの難点に遭遇することが経験された。
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