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編集後記
有馬 正高
pp.1032
発行日 1974年10月1日
Published Date 1974/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203613
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- 文献概要
臨床医学が発展するためには,形態学,生化学,生理学,薬理学などを含む基礎医学の進歩を絶えずとり入れる必要があることは誰しも感じているところであろう。「脳と神経」が今年初頭から新しい企画のもとに刊行されるようになり,少しづつ,その編集のスタイルが定着しつつある。本誌が臨床に関連のある原著論文を主とする専門誌という性格は変つていないが,近年における関連基礎医学の研究の展開を掲載することは,神経学のもつ使命の上からも適切なことと考えられる。本号に掲載された神経伝達物質の種類と作用についての総説は,近年における神経科学の重要なテーマの一つを示したものである。これらの知見が,錐体外路性疾患の本態を考える場合の一つの手がかりになつていることはいうまでもない。また,眼球運動による頭皮上の電位変化に関する論文は人間を対象としながら,基礎生理学の手法を用いた研究として意義あるものと考える。
筆者の私見では,基礎医学における優れた研究とは,人間を含む生物におけるいろいろな現象のもとにある普遍的な原則を解明するのに役立つ研究であり,その原則がより多くの事象を説明しうるものであるほど価値が高いと考えられる。
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