書評
—P. Koella & P. Levin 編—Sleep ; Physiology, Biochemistry, Psychology, Pharmacology, Clinical Implications
鳥居 鎮夫
1
1東邦大学・生理学
pp.343
発行日 1975年3月1日
Published Date 1975/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203685
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約20年前にREM睡眠が発見されて以来,その精神生理学的研究が大脳生理の理解に大きく寄与したことは否定できない。そしてこのことが今日の睡眠研究の隆盛をもたらしたと思われるが,毎年春にアメリカで開かれている睡眠研究会も最近では国際学会の趣きを呈しているし,さらにこの2,3年ヨーロッパでも独自の睡眠学会が開かれるところまできている。さて,この本は1972年10月にBaselで開かれた第1回欧州睡眠学会の講演を編集したもので,3編の招待講演,5つのシンポジウム,80の一般演題からなつている。編者も述べているように,日本を含めて世界各国から200名の研究者が参加しているので,睡眠研究の現状を知るのに大変参考になる。
招待講演ではPompeianoの「REM睡眠のニューロン・モデル」がまとまつていて面白い。PGO波をそのパターンから2種類に区別して解析していくと,REM睡眠発現にモノアミン作動系ばかりでなく,コリン作動系も関与していることがよくわかるというのである。これに対してFuxeらの「睡眠覚醒と生体アミン」ではJouverのモノアミン仮説を全面的に支持する総説である。またRothらはナルコレプシ—と睡眠過乗−1のポリグラフ研究から,その病態生理を論じているが,ここでは日本の研究者の業績が高く評価されている。
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