特集 Airway dynamics
Airway MechanicsのPharmacology
北村 諭
1
,
村尾 誠
1東京大学医学部第3内科
pp.31-42
発行日 1976年1月15日
Published Date 1976/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202854
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肝臓や腎臓のような細胞密度の高い実質臓器と比較すると,一見,肺は細胞密度がきわめて低いスポンジ様の臓器に見える。しかしcollapseを起した肺は,細胞密度も高く,実質臓器として見てもかなり大きなものであることが判る。
しかも心臓から搏出される血液の全量が灌流する肺は,その意味でも生体内に唯一つの独特な臓器といえよう。肺の血管系は主として網目状に拡がる毛細血管系よりなり,その表面積は成人男子の場合,実に70m2に達するという1)。そしてこの広大な肺血管床に存在する血液量は安静時で60c.c程度ときわめて少量である。血液が肺毛細血管系を通過するのに要する時間は1秒以下とされているが,血液はこの広大な肺血管床をきわめて薄い膜状となって通過するため,主として血管内皮細胞でおこなわれているとされている種々のvasoactive substanceの代謝は最も効果的に営まれることになる。
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