書評
—大熊 輝雄 有馬 正高 久場 兼功 平井 富雄 川原 隆造 著—臨床脳波アトラス
島薗 安雄
1
1東京医科歯科大学
pp.162
発行日 1975年2月1日
Published Date 1975/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203661
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診断・治療技術の進歩と,人間の生活様式の変貌に伴い医療の対象となる疾患の種類も次第に変化し,脳血管障害・頭部外傷・各種の中毒や脳の慢性器質性障害が医療の中で占める比重は時と共に重くなってきた。その結果,患者に苦痛を与えることなく脳の機能状態を客観的にとられる脳波検査はその必要性を益々増し,現に広く用いられるようになってきている。しかしその内容まで立ち入って検討してみると,時には,名ばかりの検査であったり,誤った診断が行なわれたりしていて,全国的な水準は未だ充分に高いとはいえない。
脳波検査の普及に伴い,その解説書にはかなりすぐれたものがわが国でもいくつか出版されている。読者はこれを読むことによつて脳波全般についての知識を得ることはできるが,さて現実に患者の脳波を目の前に置いてそれをどのように判続するかという段になると戸惑いを覚える人が少くないようである。幸いすぐれた指導者が傍にいていちいち教えてくれる場合はよいが,このようなことは一般には望みにくい。
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