書評
—大熊 輝雄 著—臨床脳波学 第2版
稲永 和豊
1
1久留米大学
pp.1352
発行日 1971年11月1日
Published Date 1971/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203008
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大熊輝雄教授の「臨床脳波学」(1963年医学書院刊)の第2版が刊行されたときいて著者がどのような改訂をされるかを非常な期待を持つて待ちわびていたのであるが,今,第2版を手にして7年前の初版と比較してみると次のような点でまず大きな変化があるのに気づいた。頁数が533頁から598頁にふえており,図の大きさが2/3程度に縮小されている。また初版では各章の文献がそれぞれの章の最後に挿入してあったものがすべて最後にまとめられている。脳波の記録は初版よりも鮮明になつている。
内容について気づいた点を述べると,てんかんに関しては本書の初版が出た年の翌年(1964年)に国際てんかん連盟が提唱したてんかんの国際分類もつけ加えられている。国際分類の中の用語の訳も適切である。たとえばerratic Seizures innew-bornなどはどのように訳出してよいかとまどうところであるが,「新生児易変発作」というたくみな訳がつけられている。また初版以後に用いられるようになつたLennox症候群,West症候群についても解説が加えられており,最近の知見,動向を少しでももらすまいとする著者の周到な配慮が充分にうかがわれる。
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