書評
—大熊 輝雄 著—臨床脳波学(2版)
平井 富雄
1
1東京大学医学部
pp.944
発行日 1971年8月1日
Published Date 1971/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202955
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かつて,脳波は中枢神経系の機能を究明し,精神現象の生物学的基礎を明らかにしてくれる優れた研究方法と考えられた。ここで「かつて」と書いたのはほかでもない。最近では,てんかん,脳器質疾患の診断に役立つ臨床検査として位置づけられるにとどまり,「かつて」期待されたような脳波の可能性が忘れさられているように思われてならないからである。
大熊教授の臨床脳波学第2版が7年ぶりに上梓されるに及んで初版は(1963年刊)本書を一読してみた。そこで改めて感じたことは,最近の脳波に対する評価がうえに述べたように月並みになつて,その可能性を問う研究のすくなくなつたことである。本書の内容は,たんに脳波検査法,脳波診断のみではない(それらも要領よくていねいに述べられているのはいうまでもない)。
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