--------------------
あとがき
臺 弘
pp.1204
発行日 1969年10月1日
Published Date 1969/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202624
- 有料閲覧
- 文献概要
夏休みのある夕,岡山に林道倫先生をお訪ねしたことがあつた。先生はさきに呉秀三先生の生誕百年の記念講演で,日本の精神医学の歴史的回顧を特別講演されたのだが,こんどは先生ご自身の長い研究生活の内輸話を伺いたかつたからである。先生のお話から,いくつかを拾つてご紹介しよう。
進行麻痺の患者の脳に鉄反応が著明に現われることは,先生が巣鴨病院(今の都立松沢病院)に入局されたその年に発見された第一のお仕事である。それは髄液の細胞の中に黄色い色調をおびたものがあることに気づかれ,脂肪染色,鉄反応と追つてみいだされたものであるという。それは腰椎穿刺すらあまりやられていなかつた当時のことである。
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.