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あとがき
臺 弘
pp.724
発行日 1969年6月1日
Published Date 1969/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202562
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- 文献概要
医学書院で発行されている多くの医学雑誌のそれぞれが,前年度に発表された諸論文のうちから最も優れたものの著者に総合医学賞を贈るような制度になったのは,この3年来のことである。受賞論文の選考は編集委員会にゆだねられているから,これは委員諸氏にとつてなかなかに頭の痛い仕事になる。いくつかの力作が推薦されて委員会の討議に付せられるのだが,衆目の一致するところの一篇がはつきりしている場合には文句がないが,そうでない時が問題である。
推薦の規準は,あるいは着想の独創性であり,あるいは資料の貴重性である。症例の集成と総合に価値のある場合もある。技能質的なものもあれば努力賞的なものもある。臨床に対する貢献や新しい視野の開拓が評価されることもある。グループでなされている一連の業績の一つである場合には,その論文がその系列の中で新しい展開をもたらしたものか,集大成的な意味をもつものであることが望ましい。このように選考規準にはいろいろの視点がありうるから,多くの論文の中から一篇をえらび出すことは実際にはかなり無理のある話となる。総合評価をすればよいとしても,かえつて当りさわりのないものをえらび出すおそれがないとはいえない。
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