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あとがき
臺 弘
pp.1074
発行日 1968年10月1日
Published Date 1968/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202455
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筆者は投稿論文の中で薬物の効果に関する報告に接することが多いので,神経科領域の疾患に対する薬剤関係の報告には効果評定法と実験計画法の厳密性が強く要求されることをこの欄に書いたことがある。今回は一見それとは矛盾するようなことを望蜀のねがいとして述べてみたい。
薬物の臨床効果判定に当つて,方法の信頼性と感度の問題はいうまでもなく重要な要件であるが,さらに重要なことは,ある効果をこの方法を用いて立証しようとする際の方法の妥当性である。方法がいかに信頼性をもちすぐれた感度をもつていても,それが立証しようとする効果を示すのに妥当でないならば,多くの症例を用い,対照をととのえた計画に則つていても,一向に意味のないことになつてしまう。その外見的に厳密なスタイルは,かえつて読者を誤りに導くおそれさえあるかも知れない。
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