連載 神経病理アトラス・14
脳脊髓炎の病理(その2)—結核性脳膜炎
武谷 止孝
1
1九大精神神経科
pp.652-659
発行日 1965年7月1日
Published Date 1965/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201872
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結核性脳膜炎は滲出性脳底脳膜炎である。炎症は主に脳の底面を占め(上図参照),凸面では比較的軽い。脳底に,やや黄色味をおびた灰白色の滲出物が,ベットリとへばりついたように見える。脳底でも,間脳底や中脳底のようにクモ膜下腔の広い部分に最も強い(上図参照)。これに加えて橋脳と延髄の境(Forarnen caecum)や,側頭葉内側面のFissura hippoearnpi⑬のあたり,脳の凸面ではFissura lat. Sylviiの付近にも病変が強いことが多い。
結核性というと,ただちに結核結節を連想するが,結核性脳膜炎ではそう多くない。少なくとも脳底のいちじるしい滲出性炎にくらべると,結核結節はあまりめだたない。しかしよくみると,主として終脳の凸面(外側面)に粟粒またはこれより少し小さい,黄色味をおびた結節を認めることができる。ただし,生理的にあるPacchioni顆粒とまちがえないように。(このものは白つぽくて形がよくまとまつており,結核結節は黄色がかつて形が多少不規則。)
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