特集 眼感染症診療ガイド
II.診断・治療のポイント
ぶどう膜・網膜
結核性ぶどう膜炎
後藤 浩
1
1東京医科大学眼科学教室
pp.186-190
発行日 2003年10月30日
Published Date 2003/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101450
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最近の結核の動向
わが国における結核患者は1951年の結核予防法の制定,1961年の患者管理制度の強化などにより,着実に減少していった。1951年当時の新規登録患者数が60万人(対10万罹患率698),死亡者10万人(対10万110)であったのに対し,50年後の現在は新規登録患者4万人弱(対10万31),死亡者2,600人と激減している1)。しかし,近年になって欧米諸国において再興感染症として台頭してきた結核感染が日本でも同様の兆しを示すようになり,次第に罹患者の減少傾向に歯止めがかかってしまった。世界保健機構(WHO)による1993年の緊急事態宣言から4年経過した1997年には,わが国でも新規登録患者数と罹患率が増加に転じてしまい2),1999年に厚生省から同様の宣言が提起されたことは記憶に新しい。しかも,日本は先進国のなかでは死亡率が極めて高いのが特徴である。
わが国で結核が再び台頭してきた背景には,人口構成の高齢化やpatient's delay,doctor's delayといった患者発見の遅れ,すなわち,受診と診断の遅れによる感染の拡大が指摘されている3)。
従来行われていた小学校1年生および中学校1年生を対象としたツベルクリン反応検査はまもなく廃止となるが,一方で弱毒結核菌,リコンビナントBCG,サブユニットワクチン,DNAワクチンなどの開発が進められている4)。
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