脳のはなし・6
条件反射
千葉 康則
1
1法政大学
pp.82-83
発行日 1967年9月1日
Published Date 1967/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913288
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〔6〕条件反射
無条件反射,つまり本性についてはいくら勉強しすぎても足りるということはないけれども,次に条件反射について説明する。条件反射というのは,脳の中に生まれつきある路ではなく,生後,脳の中につくられた路を信号が通過して起こる反射である。条件反射という言葉もよく知られていて,たいていの人はパブロフの名前とイヌと唾液を思いだすであろう。しかし,条件反射というのはそのように限られたものについていうのではなく,生後,身につける反射すべてを指している。極端に言えば,無条件反射でない脳のはたらきはすべて条件反射ともいえるわけだ。人間は生まれつきの素質と,環境や体験によってつくられた部分によって決まってくるといわれるが,生まれつきの素質が無条件反射で,環境や体験によってつくられるものが条件反射ということになるだろう。したがって,環境や体験は個人によって違うわけだから,条件反射は個人差があるのが当然である。
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