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特集 シンポジアム 情動とその障害
視床下部情動機構の脳外科的考察
追加討論・1
動物実験からみた視床下部情動機構の整理
Experimental Studies on Behavioral Mechanism of the Hypothalamus
伴 忠康
1
Tadayasu Ban
1
1大阪大学医学部解剖
1Dept. of Anatomy, Osaka Univ. Medical School
pp.824-827
発行日 1964年10月1日
Published Date 1964/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201716
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佐野教授は狂暴性患者の交感帯の後半を両側破壊してその全例に鎮静効果を得,また破壊前の刺激では激怒発作を伴う著明な交感性症状を,さらに,その外側ならびに脳室周囲層の刺激では副交感性反応を認められた。すなわち,人間においてもa—副交感帯,b—交感帯,c—副交感帯を確認されたということですが,これは人間における最初の試みであり,たいへん興味深いことです。私はこれまで,兎や猫の視床下部が人間とほぼ同じ態度を示すものと信じてきましたが,それが証明され誠に喜ばしいことであります。
視床下部は自律神経系の最高の中枢であり,生命維持の基本的なレベルを調節しているのですから,完全に破壊すると生命を失う危険があります。幸いにも,完全破壊は難しく適当に両側破壊を行なうと期待した効果が現われるので,どの高さでどの範囲を破壊するかが問題になります。私どもの動物実験では両側の腹内側視床下核を破壊するだけでに分に鎮静効果を得ております。この核の破壊で猫が狂暴になつたというWheatly ('44)の報告を心配して,この核より後部を破壊されたとのことですが,第2〜4図または線維連絡(第5〜8図)が示すように人間でも心配はいらないと思います。
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