Japanese
English
綜説
人の視床について
ANATOMY OF THE HUMAN THALAMUS
新見 嘉兵衞
1
Kahee Niimi
1
1徳島大学医学部解剖学教室
1Department of Anatomy, Tokushima University Medical School
pp.307-325
発行日 1961年5月1日
Published Date 1961/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201067
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近時視床は錐体外路系との密接な関連から脳外科,ことに定位的脳手術の方面から注目されている。著者は十数年来,協同研究者と共に脊椎動物視床の細胞構築,髄構築,個体発生,比較解剖学ならびに線維結合に関する研究を続けて来たが,いまだその根本的な解明にはなお程遠い。特に人の視床に関しては従来研究が少なく,わずかにSheps ('45),ToncrayおよびKrieg ('46),著者('47−'53),Kuhlenbeck ('51,'54)らの研究があるのみであつた。
最近SchaltenbrandおよびBailey ('59)のEinführung in die stereotaxischen Operationenmit einem Atlas des menschlichen Gehirnsという膨大な著作が発刊され,その中で視床の解剖学の項はHassler (Freiburg)が分担し,図譜も彼の分類に従つて説明されている。Hasslerの視床核分類は非常に精細ではあるが,彼の記載は比較解剖学的ならびに発生学的知見の欠如のために,しばしば重大な誤謬におちいつており,また部位によつては先人の分類と著しく異なつた独断的な命名を行なつている。
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