Japanese
English
文献
脳外科における死因としての肺栓塞,他
Pulmonary embolism as a cause of death in the neurosurgical patient
Wetzel, N.
,
Anderson, M. C.
,
Shields, T. W.
pp.325
発行日 1961年5月1日
Published Date 1961/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201068
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
手術はうまく行つて経過もよかつたのに,術後急に死亡することがあるのを明かにすべく,Northwest-ern大学脳外科病歴8000(1926〜1959)を検討した。6065例の手術で在院死9.8%,脳手術2854例の死亡率18.7%,脊椎手術2090例の死亡率1.8%,一般手術の死因で肺栓塞は,3%。脳手術の死因として肺栓塞3.4%で,1950年以後にふえている。手術後死亡までの期間1〜2日が最も多く(3割),大体3週以内である。術前状態よく活動性のもの1/3,残る2/3は非活動性であつた。術中術後に血圧90mmHg以下に低下したもの半数である。下肢その他に血栓栓塞症の術後生じたものは3例で,それが肺栓塞の原因としては意義が少い。
さて著者らが最近の脳手術後の死亡50例を剖検で確めると肺栓塞は14例(30%)で高率である。剖検者は血栓栓塞に興味をもたなければ剖検時それを発見しないであろうから,著者らの教室の古い部分のものに肺栓塞が少いのは見落しであるであろう。臨床的に肺栓塞を疑つても剖検されなかつたものもある。肺栓塞発生の原因として,患者が非活動的で病臥し肺鬱血を招いている状態を,まず挙げなくてはならぬ。とくにそうした臥床者の脳手術では術後肺合併症が生じやすい。ストレスとして副腺ホルモン分泌亢進が栓塞を招きやすい原因とは考えられない。
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.