Japanese
English
特集 記憶障害:病変と特徴
視床病変
Amnesia due to Thalamic Lesion
秋口 一郎
1
Ichiro Akiguchi
1
1京都大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Fuculty of Medicine, Kyoto University
キーワード:
amnesia
,
thalamic lesion
,
memory disturbance
,
thalamic infarct
Keyword:
amnesia
,
thalamic lesion
,
memory disturbance
,
thalamic infarct
pp.429-435
発行日 1995年5月1日
Published Date 1995/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900783
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I.はじめに
視床病変による記憶障害については,脳梗塞,脳出血,外傷,Wernicke脳症,腫瘍,感染症,視床変性症などで報告があるが,実際には脳梗塞によるものが最も多い。筆者の経験も脳梗塞によるものがほとんどである。
一般に,原因が脳梗塞であるか否かを問わず臨床医が記憶障害をみる場合,それはエピソードないし生活記憶の障害(健忘)で外来を訪れる患者を診ることが中心となる。視床はあらゆる感覚入力の統合・中継に関わるが,それのみでなく知覚・認知・注意,あるいは運動統合にも深く関与する。したがって,視床病変はエピソード記憶のみでなく,短期記憶,動作に関する記憶(手続記憶),プライミング(潜在記憶)などのその他の記憶システムの障害にも関与し得るが,本稿では健忘について述べることにする。
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