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特集 脳のシンポジウム
主題 視床の構造と機能
視床腹側核の比較解剖と線維結合
The Comparative Anatomy and Fiber Connections of the Ventral Thalamic Nucleus
新見 嘉兵衛
1
Kahee Niimi
1
1岡山大学医学部第三解剖学教室
1The Third Department of Anatomy, Okayama University Medical School
pp.491-495
発行日 1966年10月25日
Published Date 1966/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904331
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Ⅰ.比較解剖
視床腹側核は知覚経路の中継核として重要な役割を演じ,種々の知覚性上行路を受ける一方,大脳皮質と密に連結し,また大脳核と接続する。この核は系統発生学的には比較的新しく,下等脊椎動物では区別し難く,爬虫類ではわずかに分化しはじめ,哺乳類ではよく分化し,視床の腹外側および腹側の大きな領域を占める。従来腹側核の分類に関しては種々の研究者が種々の立場から種々の分類を行なつており,互に比較し難いものも多いが,著者はこれまで多数の協同研究者とともに主として細胞構築学的立場から種々の哺乳類の背側視床を研究し,腹側核を内側前部,外側前部,内側後部,外側後部および中間部に分けている。
内側前部Pars anterior medialisは系統発生学的に比較的古く,爬虫類などでみられる腹側核はこの一部に相当するものと思われる。この部は哺乳類においても下等動物で発育,分化が良好で,さらに背側亜部,腹側亜部,内側亜部および外側亜部に分かたれる。これらのうち背側亜部は最も明瞭でよく分化し,ほぼ諸家のnucleussubmediusに相当する。腹側亜部は内側亜部とともにしばしばnucleus medialis ventralisと呼ばれ,背側亜部にっいで著明である,内側並部は発育が一般に悪いが,動物によって多少発育の差異がみられ,通常下視床脚の線維によつて貫かれている。
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