Japanese
English
綜説
脳疾患と脳循環
Cerebral Bisease and Cerebral Circulation
相沢 豊三
1
Toyozo Aizawa
1
1慶応義塾大学
1Keio University
pp.287-305
発行日 1957年5月1日
Published Date 1957/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200571
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緒言
生体のうち,最も精密な機構と機能とを有する脳の循環並びに代謝異常は,脳のみではなく生体の色々な機能に変化を及ぼすところから,脳循環及び代謝の問題は,ひとり脳そのものの研究にとどまるものではなく,全身に及ぼす影響との関連において,研究が進められるべきでありまず。かくて,本問題は基礎並びに臨床医学の両面から,古来幾多の興味あり且つ重要な問題として採り上げられて来たのであります。然しながら,脳循環及び代謝を,臨床上,定量的に測定し得る適当な方法がなかつたことと,殊に脳循環に関しては,動物の種族特異性があることから,人における脳循環及び代謝の解明には数多くの異説を重ね来つたのであります。然るにN2O法により,人における脳循環諸量が動的に測定し得るようになり,更に,これに基いて,脳代謝の一部を定量し得るようになつた事は,大いなる進歩と云うべきであります。
私の担当は,脳疾患における脳循環でありますが,特に問題を,脳其のものの生理並びに病態に限局し,N2O法によつて測定し得た脳循環面からの一般考察を行い,特に,外科に関連した問題に内科医として出来るだけ触れてゆきたいと思うのであります。
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