Japanese
English
特集 脳血管性障害・II
脳卒中の治療
Treatment of Cerebral Vascular Lesions
相沢 豊三
1
Toyozo Aizawa
1
1慶応大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine,Keio University
pp.604-610
発行日 1961年9月25日
Published Date 1961/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903938
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脳卒中は急激な意識喪失とともに全身の随意運動機能失墜をきたした状態といわれているが,これを広義に解すれば,意識喪失は必ずしも急激でなくともよいし,その程度にも幅があつてもよい。運動機能失墜もまた同様であり,かくて広義の脳卒中には種々の脳血管系の疾患が含まれ,それは脳実質の病態から髄膜のそれにおよぶ広汎なものとなる。
従つて脳出血および脳軟化あるいは脳硬塞(脳血栓・脳塞栓)が脳卒中の代表的なものと老えられていたが,広い意味では,高血圧性脳症,脳血管不全,内頸動脈閉塞,くも膜下出血等も含まれることになる。このように個々の病態が,つねに同一とはいえないから,治療もまたおのずから複雑となり一つの型の治療が時には他のものに禁忌となる懼れがないでもなくなる。現在,感染を防ぎまた制し得る薬,血管を拡張し得る薬,血圧を下降或いは上昇し得る薬,血液の凝固性を変化せしめる薬,動脈の出血・血塊すなわち硬塞あるいは動脈瘤を除去し得る手段など,対症療法とは言え,より積極的で,強力な手段にめぐまれるようになつたが,これは反面それらの処置を症例に応じて適切にしかも早期に使いこなす新たな責任がわれわれ医師に加わつたとも解すべきである。
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