Japanese
English
綜説
脳循環
Cerebral Circulation
相沢 豊三
1
Toyozo AIZAWA
1
1慶応大学
1Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.462-468
発行日 1956年6月15日
Published Date 1956/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200378
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1.緒 言
生体のうち,最も精密な機構と機能とを有する脳の循環並びに代謝異常は,脳のみでなく生体の種々な機能に異変を及ぼすところから,脳循環及び代謝の問題は,ひとり脳そのものの研究にとどまらず,その全身に及ぼす影響との関連に於て研究が進められるべきである。かくて本問題は基礎並に臨床医学の両面より,古来幾多の興味あり且つ重要な問題として採り上げられ来つている。しかしながら脳循環及び代謝を臨床上定量的に測定する適当な方法がなかつた事と,殊に脳循環に関しては動物の種族特異性がある事とから,人に於ける脳循環及び代謝の解明には数多くの異説を重ね来つたのである。しかるにN2O法により,人に於ける脳循環諸量が動的に測定しうる様になり,更にこれにもとづいて脳代謝の一部を定量しうるに至つた事は偉大なる進歩であると信ずるのである。そこでこゝに私の述べるところは,本法による脳循環諸量の測定にもとづき,脳そのものの生理並に病態に限局してその解明を行わんとするものである。
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