Japanese
English
特集 睡眠と意識障害
睡眠および意識障害と脳循環代謝
Cerebral Circulation and Metabolism of Sleep and Consciousness
相沢 豊三
1,2
Toyozo Aizawa
1,2
1慶応義塾大学
2立川共済病院
1Keio Univ.
2Tachikawa Hospital
pp.723-730
発行日 1971年4月30日
Published Date 1971/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904674
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Ⅰ.緒言
睡眠は生理的な意識喪失状態であり,従来睡眠時には脳貧血または脳酸素欠乏をきたし,脳代謝は低下するとされ,これらが睡眠の結果であるよりも,むしろその一原因をなすものとされていた。しかしながら生理的な睡眠という現象を実験的対象とすることの困難性と,人について脳血流および代謝を定量的に測定する適当な方法がなかつたために,比較的近年まで,この方面の信頼すべき成績は殆んど得られていなかつたといつてよい。このような研究が本格的に採りあげられるに至つた端緒は,脳波により睡眠現象がかなり的確に捉えられるようになつたことと,N2O法により脳循環・代謝の測定が可能になつたこととによるものである。
一方意識障害は,実地医家がしばしば遭遇する重要な症候であるが,昏睡をふくむ意識障害の生成機転に関する知見は,未だ充分に解明されておらず,その診断と治療にはもつとも苦心しているところのものである。最近,病態生理学の立場から,意識障害を客観的裏付けのある事実として把握しようとする趨勢を示し,意識障害は何らかの脳の機能異常をともなうものとして探求され,脳波と脳の生化学的検索および臨床病理学的観察から意識障害の機構が解明されつつある。
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