Japanese
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輓近におけるテンカン研究の進歩
Moderne Fortschritte in der Epilepsieforschung
内村 祐之
1
1東京大学
pp.313-325
発行日 1955年11月20日
Published Date 1955/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200467
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1.緒言
テンカンは,痙攣大発作というきわめて著明な症状によつて,医学の歴史より遙かに古い時代から知られていた,謂わば最も古い疾患の一つである。しかしこの疾患はまた同時に,輓近全世界の医学研究者によつて熱心に研究されている,謂わば最も新らしい疾患の一つとも称することができる。すなわち脳の研究は,近年における脳外科および脳波の技術の進歩によつて,まつたく新らしい飛躍の段階に立つているが,この新らしい研究方法による成果のもつとも期待されているのがテンカンなのである。テンカンは医学のあらゆる時代において絶えず熱心な研究の対象となつてきたが,おそらく最近十年間の活溌さにおよぶ時代はなかつたであろう。従つて今日のこの短い時間に,これらのすべてを紹介することは不可能であるし,また私のよくなし得るところでもない。それ故に,私はそれらの中から,特に今日世界的に問題となつている二,三の点を取り上げ,私共自身の経験をつけ加えて,現在におけるテンカン研究の焦点について紹介したいと思う。
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