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あとがき
小川 鼎三
pp.322
発行日 1952年9月1日
Published Date 1952/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200309
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例年になくきびしかつた殘暑もやつと遠のいて,燈下親しむべき好季節がおとずれてきた。武藏野の一隅にいとなんでいる書齋の窓にいま秋虫の聲がしきりである。
讀書は研究者の生活に最もだいじなことの一つであることはいうまでもない。そして一つの專門についても昔から今にいたる莫大な数の出版物があり,その上に最新の書籍や雑誌がつぎつぎとでているのだから,とうてい自らの滿足をうるほどの量を讀むことはできない。また讀むことのできる範圍にあるものを全部讀もうというような悲願をおこす人があつても,本當に精讀するのでなければ多讀だけでは何にもならない。
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