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あとがき
小川 鼎三
,
淸水 健太郞
pp.362
発行日 1950年11月1日
Published Date 1950/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200157
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研究に沒頭している間は何しろその相手にとらわれてしまつて,ゆつくりと客觀的にその眞理探求の戰いをながめる餘裕がないものである。その戰いの結果をまとめ上げた論文を机の中にしまつておく。そして數カ月たつて讀んでみると,必ず不滿な個所があちらとちらにでてくる。それは研究の最中にはあまり一生懸命になつていたので氣づかなかつた點なのである。
論文を"熱させる"というのがこれである。研究の一段落と同時に論文を發送してしまえば,編集者の机の中でその論文は熟する期間をもつことになつて,何とも.この熟しはいたしかたのないものである。願くばこの期間の論文は研究者の机の中で熟するようにしていたゞきたいとおもう。もちろん何カ月かの後に讀んで,文句を削るなり加えるなりして,また實驗のやり直しや追加が必要であれば,それを果した上で,不滿のない内容のものを發表するようにしたいものである。
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