Japanese
English
総説
下オリーブ核肥大とpalatal tremor
Correlation between Inferior Olivary Hypertrophy and Generation of Palatal Tremor(formerly termed `Palatal Myoclonus')
西江 信
1,2
Makoto Nishie
1,2
1青森県立中央病院神経内科
2弘前大学医学部附属脳神経血管病態研究施設分子病態部門
1Department of Neurology, Aomori Prefectural Central Hospital
キーワード:
inferior olive
,
olivary hypertrophy
,
palatal tremor
,
involuntary movement
,
clinical-pathological correlation
Keyword:
inferior olive
,
olivary hypertrophy
,
palatal tremor
,
involuntary movement
,
clinical-pathological correlation
pp.307-315
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100467
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はじめに
下オリーブ核複合体は,発生学的に古い背側および内側オリーブ核と,大脳半球とともに霊長類,特にヒトにおいて非常に発達した主オリーブ核からなる。多くの皺壁を持ち腹側に隆起した,延髄において肉眼的に最も目立つ特徴的な構造物である。対側小脳歯状核より同側赤核,中心被蓋路を経て下オリーブ核に終止するオリーブ求心路と,下オリーブ核から下小脳脚を経て小脳皮質と小脳深部核全域に終止するオリーブ遠心路は,いわゆるGuillain-Mollaretの三角という閉鎖型の神経回路を形成し19,30),この三角の二辺でもあるオリーブ求心路の障害の結果生ずる下オリーブ核の肥大性変化は,古くから諸家の注目を集めてきた14,29,46,49)。また,この回路の障害により,臨床的には,軟口蓋ミオクローヌス-現在は軟口蓋振戦と呼称(palatal tremor,以下PT)-が生じるため,myoclonic triangleと称されることもある。下オリーブ核肥大(olivary hypertropy,以下OH)およびPTは,病理学的にも臨床的にも特異的な所見であり多くの議論がなされてきた神経学上の問題点であるが,両者の関連をはじめ,未だ解明されていない点も多い。本稿では,それぞれの研究の歴史と最近の知見,現在の問題点についてPTの発生機序を中心に概説する。
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