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小脳皮質への入力路は2種類の線維すなわち登上線維(CF)と苔状線維(MF)に限られている。前者は大部分が下オリーブ核に起始するのに対し,後者は脊髄,延髄,橋の数多くの核に由来し,両者は形態学的にも電気生理学的にもきわめて対照的な様相を呈する。1個のプルキンエ細胞(P-細胞)は,1本のCFをうける。CFはP-細胞の広範に分岐した樹状突起に沿って分枝しつつ多数のシナプスを形成しきわめて強力な興奮性シナプス後電位を与える。これに対しMFは小脳皮質の顆粒細胞を介してその軸索である平行線維によってP-細胞に興奮性シナプス後電位を与える。それは1本の線維の作用としてはごく微弱なものであるが,実際には非常に多数の線維が時間的空間的に加重を起こすことによってP-細胞を発火させることができる。P-細胞はこの2種類の入力に対し異なった発火様式で応ずるため,小脳皮質における単位発射の記録からP-細胞を同定し,またそれがどちらの入力で発火しているかを同定することができる。
それではこの対照的な2種類の入力路はそれぞれ生理学的にどんな役割を担なっているであろうか。自然刺激によって皮膚10,11)や筋肉15)の各種感覚受容器をできるだけ選択的に興奮させてそれに反応するP−細胞の発射のパターンを調べた実験では,2種類の入力路の間には,感覚の種による差異は認められなかった。
It is well known that the cerebellar cortex receives only two kinds of afferents, i.e., climbing fibers (CF) and mossy fibers (MF). The former originates mostly from the inferior olivary nucleus (IO) and synapses on Purkinje cells (P-cells) of the contralateral cerebellar cortex while the latter comes from various nuclei in spinal cord, medulla oblongata and pons, and synapses on granule cells of which the axons, parallel fibers, synapse on P-cells. In spite of numerous investigations on CF input system of the cerebellar cortex, its functional role is still largely obscure.
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