Japanese
English
特集 精神科診断分類の背景にある考え方
単一精神病学説の歴史
History of the Theory of Unitary Psychosis
古城 慶子
1
Keiko Kojo
1
1国際医療福祉大学小田原保健医療学部作業療法学科
1Department of Occupational Therapy, International University of Health and Welfare School of Health Sciences at Odawara, Odawara, Japan
キーワード:
内因性精神病
,
endogenous psychosis
,
二分法
,
dichotomy
,
単一精神病
,
unitary psychosis
,
疾病単位
,
nosological entity
,
精神病理学的試み
,
psychopathological issues
Keyword:
内因性精神病
,
endogenous psychosis
,
二分法
,
dichotomy
,
単一精神病
,
unitary psychosis
,
疾病単位
,
nosological entity
,
精神病理学的試み
,
psychopathological issues
pp.847-854
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206121
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抄録 ロマン期後期に実を結んだ単一精神病学説が19世紀末に中断するまでの沿革を辿った。1845年のGriesingerの単一精神病段階学説を通してロマン期精神医学に遡り,1838年のZellerの力動(情動)的疾病観に辿り着くことで古い精神医学的伝統が汲み上げられた。Griesingerの段階学説は1867年に「原発性狂気」の疾病型を導入したとき,それ以前のように病的な感情の動きからではなく,脳の障害から導き出そうとしたことで,人間心理の学を自然科学的精神医学の概念的網の目へと還元していく方向へ変化した。原発性狂気はKahlbaumが敷いた迂回路を経てKraepelinの早発性痴呆へと姿を変えた。1867年はロマン期の底流にあった力動論から唯物論(単一精神病論から疾病単位論)への仮説の転換期となった。その一方で現在も単一精神病論は疾病単位論とは別の意味で精神医学の認識の方法論であり続けていることを確認した。
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