Japanese
English
特集 精神科診断分類の背景にある考え方
臨床遺伝学と疾病構造論
Clinical Genetics on Psychiatric Disorders and the Structure of Them
木下 真也
1
,
金沢 徹文
1
,
米田 博
1
Shinya Kinoshita
1
,
Tetsufumi Kanazawa
1
,
Hiroshi Yoneda
1
1大阪医科大学総合医学講座神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Osaka Medical College, Takatsuki, Japan
キーワード:
遺伝率
,
heritability
,
多型
,
polymorphisms
,
多因子遺伝
,
polygenic
,
単一精神病
,
unitary psychosis
,
基本的メルクマール
,
fundamentale Merkmale
Keyword:
遺伝率
,
heritability
,
多型
,
polymorphisms
,
多因子遺伝
,
polygenic
,
単一精神病
,
unitary psychosis
,
基本的メルクマール
,
fundamentale Merkmale
pp.891-895
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206126
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抄録 遺伝研究の進展に伴い,これまで明らかになっていなかった科学的事実が判明している。それぞれの精神疾患は独立しているわけではなく,有意な重なりをもっていることから単一精神病を想起する向きもある。1800年代から1900年代初頭に趨勢であった単一精神病論は,「悪い分類よりは無分類のほうがよい」という思想から発展したもので,現代において治療薬に大きな差がない旧来の精神病や神経症と呼称された各疾患に,ある面では当てはまるのかもしれない。とはいえ,患者にとってみれば遺伝情報に近接性があろうが,十分に個別性に配慮した形で治療は進めて欲しいだろうし,納得できる診断名も臨床的な有用性が高い。患者と同じ高さから見ると精神疾患はそれぞれ独立しているが,より高い遺伝情報を元にすると精神疾患は単一に見えるだろうし,より高い視線ではヒトは類縁の動物と大きな違いはないのかもしれない。臨床家はそれぞれが持つ典型例が見える高さで患者に有用な情報を提供していく存在で,ガイドラインを超えた臨床知は高くしすぎないその視点から生まれてくる。
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