特集 精神科診断分類の背景にある考え方
Griesingerの精神医学体系からDSM-5を吟味する
加藤 敏
1
Satoshi Kato
1
1小山富士見台病院
1Oyama Fujimidai Hospital, Shimotsuke, Japan
キーワード:
気分障碍
,
affective disorder
,
統合失調症
,
schizophrenia
,
急性期精神病
,
acute psychosis
,
慢性期精神病
,
chronic psychosis
,
抗精神病薬
,
neuroleptic
Keyword:
気分障碍
,
affective disorder
,
統合失調症
,
schizophrenia
,
急性期精神病
,
acute psychosis
,
慢性期精神病
,
chronic psychosis
,
抗精神病薬
,
neuroleptic
pp.855-866
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206122
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抄録 Griesingerによる精神医学体系は,精神病を疾患横断的に「治癒可能な急性期病態」(一次性感情障碍)と「治療抵抗性の慢性期病態」(二次性精神衰弱)に二分し,しかも二次性精神衰弱にも回復の可能性を見て取る柔軟性をそなえている。この二重の意味での単一精神病論の見地から,DSM-5の双極性障碍,うつ病,また統合失調症に光をあて,DSM-5は急性期エピソ一ドを一次性感情障碍と包括的にみる視点も内に持つことを指摘する一方,統合失調症については一貫して認知障碍と捉え,治療的展望に乏しい硬直した考え方が目立つことを指摘した。
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