増大号特集 精神科診療のエビデンス—国内外の重要ガイドライン解説
第8章 発達障害
②注意欠如・多動症
注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン 第4版—本ガイドラインを中心とした比較検討
小野 和哉
1
Kazuya Ono
1
1聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室
1Department of Neuropsychiatry, St. Mariannna University School of Medicine, Kawasaki, Japan
pp.643-648
発行日 2020年5月15日
Published Date 2020/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206087
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ガイドラインのポイント
・ADHDの臨床像が明確に表現されている。身体的基盤因が重視され,養育の課題論,親責任論を明確に退けている。
・「心理社会的治療の重視」が明確化されている。また,病態の重症度に応じ,心理社会的治療の施行期間を調整する必要が述べられている。薬物療法に至るまでの期間がかなり長く設定されている。
・抗ADHD薬の選択の仕方(現在はグアンファシンが登場し3剤からの選択になる),適応外使用薬についての説明と同意の重要性に触れている。
・治療目標論が表現されている。障害の症状改善ではなく,患者の自己形成に付言している。また,患者のパーソナリティ形成への視点が盛り込まれている。
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