Japanese
English
実践講座 神経発達症の診療・3
注意欠如・多動症—ADHDの評価・診断
Clinical evaluation and diagnostic process: attention-deficit/hyperactivity disorder
宮尾 益知
1
Masutomo Miyao
1
1医療法人社団益友会どんぐり発達クリニック
1Acorn Clinic
キーワード:
注意欠如・多動症
,
ADHD
Keyword:
注意欠如・多動症
,
ADHD
pp.1111-1115
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202617
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衝動的で落ち着きがなく,授業に集中できなかったり,不注意でぼーっとして,呼びかけられても気がつかなかったりする子供たちは,注意欠如/多動症〔注意欠如/多動性障害(attention-deficit/hyperactivity disorder:ADHD)〕として,対応策が医療や教育現場で講じられ,診断から治療,社会的対応のネットワークが構築されつつある1).ADHDは,1798年にスコットランドのアレクサンダー・クライトンによりADHDに類似した症状に関しての初めての記載がなされ 2),1845年にドイツの医師ハインリヒ・ホフマンにより,子供向けの絵本『もじゃもじゃペーター』3)でADHDの特徴がわかりやすく表され,今でもフランクフルトのマスコットとして親しまれている.
1902年にStill GFはthe Lancetに攻撃的な43の小児例を「制御と広範囲の秩序破壊的行動」として発表し,「個人の素質に原因があると考えられる児童期精神疾患」として報告している4).1944年,メチルフェニデートがスイスのチバ社(Ciba Pharmaceutical Company,現 ノバルティス社)によって合成され,1954年に特許取得後,ドイツで発売された.当初は米国において,うつ病,慢性疲労,ナルコレプシーなどの治療薬として定められていたが,1960年代の初頭に,当時,多動症や微細脳機能障害(minimal brain dysfunction:MBD)として知られていたADHDの子供に対して使用され始めた.
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