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特集 エキスパートが教える 小児の薬物治療
Ⅲ.疾患別
K.社会心理学的疾患
注意欠如多動症
Attention deficit hyperactivity disorder
山下 裕史朗
1
Yushiro Yamashita
1
1久留米大学小児科
キーワード:
attention deficit hyperactivity disorder
,
心理社会的治療
,
薬物療法
Keyword:
attention deficit hyperactivity disorder
,
心理社会的治療
,
薬物療法
pp.848-852
発行日 2023年11月30日
Published Date 2023/11/30
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001350
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1 疾患概念
2013年に公表されたDSM-5(第5版)で注意欠如多動症(attention-deficit hyperactivity disorder:ADHD)は,神経発達症群(neurodevelopmental disorder)すなわち,発達早期に顕在化し,対人,社会性,学業,職業機能に影響を与える発達上の障害があるものに含まれた1)。また,WHOの新たな疾患分類であるICD-11でもDSM-5の神経発達症群という用語を採用し,ADHDをそのなかに含めた。ADHDは小児の約5%に認められる。さまざまな生物学的要因を基盤に,心理的要因や環境要因などが複雑に絡み合い,症状が惹起あるいは悪循環すると考えられている。ADHD特性に関連する脳機能障害の一つは,実行機能系の障害である。実行機能障害から注意持続や計画的行動ができない(不注意),抑制ができず衝動的な行動を起こす(多動性・衝動性)。もう一つは報酬系の障害で,すぐに報酬が得られないときに注意がそれる(不注意),報酬が待てなくて代替行動を起こしてしまう(多動性・衝動性)。また時間処理機能の障害のため,時間知覚(時間的長さ,順序,同時性,同期性)が困難であることも多い。
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