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編集後記
H. M.
pp.204
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101375
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医学部5年生の臨床実習を担当しているが,実習の初日に学生に対して学部の専門教育以外でメンタルヘルスに関する教育を受けたことがあるかどうかを訊ねることにしている。家族,友人,ときに本人が精神的問題を抱えたために個人的に勉強したというものは結構いる。しかし,小中高で体系だったメンタルヘルスの教育を受けたものは皆無で,せいぜい精神科関連施設でのボランティア体験をしたことがあるというものが稀にいる程度である。こうした問題を実習初日に彼らと話し合い,実習終了時に精神科実習の感想を自由に書かせているが,多くの学生は患者との触れ合い体験を通じて,これまで抱いてきた精神障害者に対する偏見に短期間で気づくようである。
医学部以外の学生が精神障害をどう見ているのかを知りたいという思いもあり,入学直後に行われる全学教育で少人数による基礎ゼミを担当した。「こころの病とアンチスティグマ」と題してゼミを開講した。開講時に「精神障害者に対するイメージ」を無記名で書いてもらったが,大半が現実とはかけ離れたネガティブなものばかりで唖然とした。その後,講義,実習,ワークショップを組み合わせた授業を15回ほど行い最終日に再び同じ質問をしたところ,イメージがポジティブなものに大きく変化した。教育効果は絶大である。ある学生から,こうしたゼミを全員が受講できるようにできないものかとまで激励された。
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