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編集後記
M. H.
pp.832
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102813
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この原稿を書いているのは8月後半です。子どもたちの夏休みも終わりに近づいている時期です。先日,マスコミで宿題代行業なる商売が紹介されていました。漢字や計算ドリル,読書感想文,工作など,本来は自分自身で,あるいはそっと親に手伝ってもらいながら月末までに何とか仕上げてきた夏休みの宿題をすべて代わりに仕上げてくれる商売なのだそうです。その是非については改めて論ずるまでもありませんが,若い頃は教授から命ぜられた投稿論文の,そして現在は種々の依頼原稿などの,冷酷に定められた締め切りに追われながら,「小・中学生のような宿題からいつになったら逃れられるのだろう」と恨めしく感じながらここまできてしまったわが身には,その気持ちだけは理解できるように思いました。もちろん簡単に批判する前に,そのような商売が成り立つ背景にある子どもの宿題を取り巻く状況を詳細に調べ整理する必要があることは言うまでもありません。
さて,その締め切りを厳守していただき,特集「うつ病の早期介入,予防Ⅱ」に6本の原稿を揃えることができました。高齢者,児童青年期,早期介入における薬物療法,プライマリケア,産業衛生,ストレス(養育環境)など,うつ病に縦横から焦点を当てた特集後半となっています。その他,研究と報告,短報,資料,試論,がそれぞれ1本ずつの構成で,多彩な内容の論文が掲載されています。特に石川論文は,“児童虐待”というこれまでは子どもに関連する領域に限られがちであった話題に対して,精神科医の一般臨床から見た“親権能力”の問題から切り込んでおり,我々に斬新な視点を提供しています。
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