--------------------
編集後記
M. H.
pp.276
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102688
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
毎号を通読して感じることですが,精神医学のすそ野の広がりが年々大きくなっています。本号も同様で,まず最近のトピックスと言ってよいレビー小体型認知症(DLB)に対する薬物療法に関する重厚な論文が掲載されています。アルツハイマー型認知症の治療薬の選択肢が増えたものの,DLBに保険適用のある薬剤は未だない状況のなかで,現時点で得られている科学的知見と今後の見通しを明確に示しています。自殺を扱った論文は本誌では一般的になりつつありますが,自殺という多様な側面を持つ事象を反映して当然その切り口は多彩とならざるを得ません。本号ではうつ病患者における自殺に対して心理学的剖検を用いた知見が紹介されています。うつ病に関しては滋賀県における「かかりつけ医」の現状に関して地域精神保健の観点から報告されています。続いてADHDの薬物療法に関する報告,成人の広汎性発達障害の受診状況に関する報告があり,児童精神医学に関連するものが2題掲載されており,このようなことは以前では考えられないことであったと思われます。その他にも多岐にわたる報告が掲載されています。
すそ野の広がりとともに当然,精神科医は広範囲の知識や興味,あるいは対応を求められることになりますが,だからこそ常に精神医学の基本に戻り確認する作業を惜しむべきではないと思います。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.