Japanese
English
特集 睡眠呼吸障害—生活習慣病の危険因子として
肺循環障害
Disorders of Pulmonary Circulation during Sleep
木村 弘
1
,
栗山 喬之
1
Hiroshi Kimura
1
,
Takayuki Kuriyama
1
1千葉大学医学部呼吸器内科
1Department of Chest Medicine I, Institute of Pulmonary Cancer Research, School of Medicine, Chiba University
pp.1193-1197
発行日 1998年12月15日
Published Date 1998/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910097
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はじめに
睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS),とりわけ,閉塞型睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)患者においては,睡眠時無呼吸に伴って,低酸素状態に呼応した一過性の肺動脈圧上昇がしばしば認められる1,2).また,覚醒時における肺高血圧症の合併頻度は約20〜40%に達すると報告されている3〜5).肺動脈圧の上昇は右心負荷を招き,同時に起こる心不全の進展と相まって,睡眠中の不整脈や虚血性心疾患などの発症・増悪因子となりうる6).
OSAS患者においては,これまでは循環器系との関連での生活習慣病の危険因子としては,高血圧症や虚血性心疾患など,左心機能とより関連する因子について注目されてきた.しかし,気道閉塞時に認める胸腔内圧の変化は,胸腔内臓器に多大なsheer stressを与え,体循環系より低圧系である肺循環系においては,より過大なストレスが加わることから,肺循環系への多大な影響も想定される.
本稿では,OSAS患者での肺循環系の病態についての理解を深めることを目的として,第一に,OSAS患者において認められる睡眠時肺高血圧症の発生機序および増悪機序について検討した結果を示す.第二に,OSASの重症型と考えられる肥満低換気症候群(obesity hypoventila—tioll syndrome:OHS)における肺循環障害の合併に関する最近の調査成績について概括する.
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