Japanese
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特集 在宅酸素療法—最近の進歩
肺循環動態に対する効果
The Effect of Long-term Oxygen Therapy on the Pulmonary Hemodynamics
岡田 修
1
,
栗山 喬之
1
Osamu Okada
1
,
Takayuki Kuriyarna
1
1千葉大学肺癌研究施設内科
1Department of Clinical Research Ⅱ, Institute of Pulmonary Cancer Research. School of Medicine, University of Chiba
pp.431-436
発行日 1994年5月15日
Published Date 1994/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900859
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はじめに
在宅酸素療法(home oxygen therapy:HOT)が適応となるような慢性呼吸不全を伴った各種慢性肺疾患患者においては,肺高血圧症や肺性心といった肺循環障害を合併することが多く,またこうした肺循環障害の合併は予後不良因子の一つと考えられている1).実際に,厚生省特定疾患「呼吸不全」調査研究班の研究報告書でも,わが国においては,年間4,000例前後のHOT新規登録患者がみられ,その約50%が臨床的に肺性心ありと評価されており,慢性呼吸不全と肺循環障害との間には密接な関連性が指摘されている.当科において,病状の安定期に心臓カテーテル検査を施行した慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)86例における肺動脈平均圧(PAm)と動脈血酸素分圧(PaO2)との関係を示すと,図1のごとく負の相関関係が認められている.さらに,この86例をPaO2)≦60 Torrの呼吸不全群,60 Torr<PaO2≦70 Torrの準呼吸不全群,PaO2>70 Torrの非呼吸不全群の3群に分け,PAmが20mmHg以上の肺高血圧症合併例の頻度を比較してみると,図2に示すごとく呼吸不全群ではその約90%に,また準呼吸不全群ではその50%に肺高血圧症の合併が認められ,呼吸不全の程度が進行するにつれて肺循環障害の頻度およびその程度も進行していくことがわかる.
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