Japanese
English
特集 肺胞過換気
末梢性過換気
Hyperventilation Due to Peripheral Origin
巽 浩一郎
1
,
栗山 喬之
1
Koichiro Tatsumi
1
,
Takayuki Kuriyama
1
1千葉大学医学部呼吸器内科
1Department of Chest Medicine, Medicine, School of Medicine, Chiba University
pp.419-423
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900466
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はじめに
呼吸器系の最も重要な機能は,肺胞から生体内に酸素を取り入れ,組織で産生した炭酸ガスを外界に排出させる換気機能である.この肺胞換気を初めとして,肺内ガス拡散・換気と肺血流のマッチング等の一連の肺の生理学的機構の作働により,動脈血液ガス組成は常に正常に保たれるようになっている.正常な肺胞換気に異常が起これば,それは動脈ガス組成の異常につながる.肺胞換気量(VA)は,VA=0.863・VCO2/PACO2の式から求められ,CO2の産生(VCO2)が一定であれば肺胞気炭酸ガス分圧(PACO2)に反比例する.臨床的には,PACO2は動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)にて代用できるので,肺胞換気の異常はPaCO2の異常としてとらえられる.
過換気すなわちPaCO2の低下は種々の病態において起こる.呼吸器系の機能が正常に働いている健常人では,過換気が起こると,動脈血ガス分析にてPaCO2の低下・動脈血酸素分圧(PaO2)の上昇が生じる.心因性と考えられる過換気症候群(いわゆる中枢性過換気),糖尿病などの代謝性アシドーシスの症例において,このような過換気が生じうる.一方,呼吸器系に疾患がある症例では,過換気が起きていても,PaO2は必ずしも上昇しない.いわゆる低酸素血症性呼吸不全の病態を呈することがある.
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